生態

雌を中心とした群れを単位として生活し、高度な社会を作っている。巨大なため成体のゾウは襲われる事は普通無い。しかし人間をはじめ天敵が全くいないわけではない。ビルマではアジアゾウの生まれた子供の内の半分がトラの餌食になっていたという記録がある。ボツワナでは乾季獲物の半分以上がアフリカゾウ(成獣も含まれる)というライオンもいる。ライオンは群れをつくることでアジアゾウ以上に巨大で手強いアフリカゾウの群れと対峙できるのである。群れの大人のゾウたちは常に子供のゾウの周りを取り囲んでライオンなどの敵から守っている。

人間には聞こえない低周波音(人間の可聴周波数帯域は約20Hz以上なので、それ以下)を使用し会話していると言われ、その鳴き声は最大約112dBもの音圧があり(自動車のクラクション程度)、最長で約10km先まで届いた例もある。加えて、象は足を通して低周波をキャッチすることができることも最近発見された。

ゾウの足の裏は非常に繊細にできていて、そこからの刺激が耳まで伝達される。かれらはこの音を30~40km離れたところでもキャッチすることができる。この領域はまだ研究が始められたばかりだが、雷の音をキャッチしたり、遠く離れた地域で雨が降っていると認知できるのはこのためではないかと考えられている。また足の裏はいくつものひび割れがあり、滑り止めの役割をしている。ゾウによってひび割れの模様は違う。人間でいえば指紋のようなものである。また、その巨体に似合わず足が速く、時速40キロ程度で走ることができる。

高い認知能力も持ち、人間を見分ける事も出来ると言われる。例えば(動物園等の飼育下で)、優しく接してくれた人間に対しては甘えたり挨拶したりするが、逆に(飼育下や野生の状態で)自らや仲間に危害を加えた人物に対しては非常に攻撃的になる。人々が違う言語を話しているのを聞き分けることができ、象を殺すこともあったマサイ族のことを非常に恐れる。ただし、同じマサイ族でも女性には攻撃をされないことを分かっているので、男性だけを避けようとする等々様々な逸話が伝えられる。また、ゾウは群れの仲間が死んだ場合に葬式ともとれる行動をとる。死んだゾウの亡骸の周りに集まり、鼻をあげて死んだゾウのにおいをかぐような動作を取り、亡骸を労わるように鼻で撫でる等の記録がある。詳細については疑問も多いが、いずれにせよかなり優れた記憶力や知能を持っていると推察される。

タイのチェンマイでは象が絵を描く芸が披露されている。[1]

草・葉・果実・野菜などを食べる。ミネラルをとるために泥や岩塩などを食べることもある。草食動物で1日に150kgの植物や100ℓの水を必要とし、野生個体の場合はほぼ一日中食事をしている。体が大きいため必要な食物も並大抵のものではないため森林伐採などの環境破壊の影響を受けやすく、またゾウの食欲と個体数増加に周囲の植生回復が追いつかず、ゾウ自身が環境破壊の元凶になってしまうこともある。

成熟した大人のオスゾウにはマスト(ムスト)と呼ばれる一定の期間凶暴になる時期がある。ゾウはこめかみの辺りからタール状の液体を出すのだが、マストになったオスはその分泌量が多くなるためそれと判断できる。動物園ではマストになったオスは、暴れないよう檻の中で鎖につないでおくことが多い。